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切​り​落​と​さ​れ​た​半​身​と​血​液​を​抱​え​て​生​き​る​私​は​、​そ​の​関​係​に​意​味​を​求​め​続​け​て​い​る​。​そ​れ​ゆ​え​に​、​意​味​も​な​く​他​人​と​し​て​現​れ​、​意​味​も​な​く​電​波​上​で​す​れ​違​う​貴​方​の​こ​と​が​必​要​な​の​だ​。

from 思​考​実​装 by ukiyojingu

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about

「思考実装」と称したシリーズを始めたのは昨年の初夏だった。あれから1年以上経ち、外はまだまだ暑いものの、少なくとも晩夏の様相になっている。「言語交錯」から引き継いで始めたこのシリーズだったが、いったい何をしたのだろうか。自分にもよくわからなければ、あとになって振り返ると自分の作っているものの意味不明さに、自分が若干恐ろしくなることも多かった。
それでも、この音楽を聴いてくれる人も、この映像を見てくれる人も、この文章を読んでくれる人も必ずいた。私たちが互いに互いを認識するには、きっと一人では駄目だから、だから私にはこの画面を見るあなたのことが必ず必要なのだ。相互関係を通して溶け合い、半透明な私が徐々に別の何かに変わっていく過程こそ、必要なのだ。
だから、これからも何かを作らないといけないのだろう。
無意味に切れ、電波/あるいは現実空間で出会う私たちが互いに互いを入れ替え、少しずつ変身していく過程こそ、きっと必要なのだから。

lyrics

2022年の初秋。

あれから1年経ち、今年も到来したはずのけだるい暑さも、いつの間にか収まっていた。秋の気候を肌で感じながら、私はいつの日かと同じく、京都の8階にある自室から外に出かけようとする。京都は観光客が来なくなってからだいぶ落ち着いた印象があるが、それでも自転車で街を漕ぐと、あちこちでスクラップ&ビルドが実行されている。この1年強の期間だけでも、都市は確実に変わっていることが分かる。

私は、この1年間で何が変わっただろう。いろいろなことが変わったと思う。とはいえ、1年前の初夏に思っていたことなど、これっぽっちも思い出せないのも事実だ。私は一体、何をしてきたんだろう。思い返そうとして、前回のアルバムの付録として配布した文章を読み直してみる。どうやら、1年ほど昔の私は新しいものが欲しかったそうだ。それは何者によってもジャンル分けできない、自分自身の唯一無二の「血液」についての話だ。

それを求めて、いろいろなことをやってきた。あるときは日記をそのまま音楽にして、あるときは呼吸を入れて、あるときは音楽でなくなって。だが、どんな試みをしようとも、私の音楽は誰かによって解体され、曖昧な形になりながら他者に伝達される。そのとき、私の唯一性はきっと、あなたの唯一性に変身しているのだろう。私の唯一性は、画面の向こうにいるあなたの唯一性とどうしても溶け合ってしまう。

だからこそ、私はあなたが必要なのだ。私は私一人で、私の輪郭をなぞることができない。それができるのは私でなく、まぎれもなくこの言葉を聞くあなただ。私自身の血液を探すことも、それらを混ぜ合わせて一緒に向かうにも、いずれにしてもあなたが必要だ。私たちは一人では駄目なのだ。
あなたは、意味もなく電波を伝って私の合成音声音楽に到達したのかもしれない。だが、私にはあなたが必要だ。
今も、聞こえているんだろう?

私たちは個別具体な血液を探求することも、一つになることもできない。血液は曖昧な生命情報でしか認識されず、それは本質的に孤独だ。集合し、名前を失い、何者でも無くなる行為の背景には、消去される「何者」がそこにいなければいけない。私たちはどこにもいけないのだろうか。だが、どちらにしても、私は自分自身から理由もなく切り離されて、私と全く異なる思考をして、そして私と全く偶然に出会ったあなたがいなければいけないことだけは間違いない事実だ。だからこそ、私は切り離された関係を考えなければならない。それが、これからの思考の続きになるだろう。

全てを終えて、京都の夜を眺めながら文章を書いている。
正直な話、自分が何をやっているのか全く分からない。それどころか、まるで正気じゃないようにも感じる。文章を書きながら、指も震えている。本当にこれでいいのだろうか。書き残したことはないだろうか。
多分あるだろう。
この文章はどこまでも不完全だ。
だが、あなたがきっと補完してくれる。
そんなあなたとの関係性を信じて、この音楽を終わりにしたく思う。

credits

from 思​考​実​装, released December 30, 2022

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